河原で石を売るように 其の二

何らかの商売を始める気になったのには訳がある。

20年近い仲の友人Gが去年の夏に一緒に何かやらない?と誘ってくれていたのだ。

いいね〜と言いながらも お互い何かやる何かが何も見つからなかった。


Gは閑静な住宅街に広大な敷地の森を有している。

両親を亡くしてその敷地を相続した。今はその敷地内にログハウスを建て石窯ピザの店を経営する女性オーナーだ。

まだ余りある敷地に もう一軒小さなログハウスを建てるから そこで二人で何かやらないかと言うのだ。


その話から三ヶ月後、ログハウスは素敵に完成した。

今はまだ何かやる何かが見つからないまま離れの個室になっている。

何かやる何かなぁ…会う度二人で頭を悩ませていた。


何かやる話が始まってから、私も色んなプランは考えていた。

色んな人に会って意見も聞いた。

主にターゲット層になりそうなオシャレでライフスタイルにこだわりを持つ主婦や、一流品に囲まれた暮らしをしているリッチなマダム、ものづくりしている人など色んな友人に

あのログハウスで、私が何か商売するなら何が良いと思う?

貴方なら何やる?

無茶振りぐらいの質問を浴びせかけた。

友人みんなが口を揃えて言うのは、

あんたはセンスがあるから何しても面白い感じにはなりそうという、かなり買いかぶりな意見。

そして意外にも何するにせよ協力するよ!という温かいことば。


カフェと焼き菓子の店は?

マクロビオティックの食材は?

ドッグカフェは?

色んな意見を前向きに検討してみたが、いずれにしても 今まで興味が無かったことを半年や一年で商売にするのは素人以下の仕上がりにしかならないだろう…ということ…

最近焼き始めた人のケーキなんて普通の主婦に余裕で負けるだろう…


悩んでる間に思った以上に早く私の失業が決まった。

もう悩んでるヒマはなくなった。

どうしよう…